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【知らなかった?これが上達の秘密!】『リュート編』

このコラムはワールドミュージックコースのFacebookからの転載です。

第1回:良い音色の秘密

リュートの良い音の出し方を紹介します。まず、指先の関節の力をぬくこと。爪を立てない猫のような感じです。指先に力を集中させると引っ掻いた音になります。そして、手を表板から垂直方向に移動させないこと。2組の弦が健全に鳴るためです。親指は肘から伸びた一本のラインを意識して弾くこと。低音には、腕の重さが背景にあることが大切です。「ニュートンのゆりかご」という物が参考になると思います。
(金子浩)

第2回:リズムの秘密 その1

音(リズム、クリックなど)には2種類あります。一つは自分の作る音、もう一つは待つ音。私たちが足を動かしたり体を前に倒したりして音を出すとき、その時間の音のタイミングは、自分が作りだしています。待つ音は、時間(ときの流れ)が勝手に作るで、何もしなくても自然に発生します。例えば、そこにブランコがあるとすると、押して動かすときは自分の作る音、戻って来るときは時の流れが勝手に作る音です。戻ってくるのは自分の仕業ではないのです。私たちは戻って来るのをただぼーっと待っているだけです。待っているべき音は、決して定刻より早く来たりはしません。ブランコが万が一定刻より早く戻ってときは、それは誰かが反対側から押し戻してときです。一拍一拍ごとに体を動かしたり足を動かしたりしていませんか。練習でそれをすることが、良い悪いは抜きにして、それをすることは、ブランコをわざわざ反対側からも押し戻していることになります。時間が勝手に作り出すリズムも大切にしましょう。デートの待ち合わせで、約束の時間より早く来て、「待たされあ~」とは言わないでしょう。(^^)(金子浩)

第3回:リズムの秘密 その2

西洋の音楽、ことに舞曲などのリズムには、高さという要素があります。高さの無いリズムとは、地面に枝で三角形を描くような感覚です。わたしたちが指揮棒などを上下に振る時、高さが必要になります。この高さという要素ですが、上に行くほどゆっくりになり下に行くほど早くなるという、遊園地のローラーコースターのような性質を持っています。西洋の舞曲の動きは、かかとの浮いている状態の姿勢が多く、次の一歩に踏み出さずにはいられない、というローラーコースターが加速しながら降りていくときの動きと重なるものがあります。遊園地では重力やGを感じる乗り物が多いと思います。古典の舞曲を演奏するとき、体の中にふわふわとした重りの様な物をイメージして、上半身を上下に動かしてみましょう。赤ん坊が「高い高いっ!」と持ち上げられて微笑むのを目にしますが、同じ様な心地よさが舞曲にもあるのだと思います。
(金子浩)

第4回:フレージング、アーティキュレーションの秘密

音楽の中の時間やタイミングなどは、物理的にメトロノームに近づくほど良い音楽とかいう考えは、当てはまらないのは周知のことと思います。今回はアーティキュレーションについての話です。音、あるいは音の出るタイミングには、期待度というものがあります。音が発せられるタイミングに対して遅れる場合、おくれれば遅れるほど期待度が高まります。風船にガスボンベから空気を入れて膨らますときを想像します。もう破裂するはずなのに破裂しない、息もできない、といった状況は、期待度とともに破裂した時の印象も大きくさせます。花火の導火線に点火したときも同じ様な感じがします。このことを、音の立ち上がりに当てはめてみましょう。竹筒をピストンにしたおもちゃの空気鉄砲を手にしてみると分かりますが、一番弾が効率よく飛んだときは、筒の中の圧力が効率よく高まって、ピストンの動きが終わる一歩手前で弾が飛び出したとき。つまり、一番待たされて期待度が高まったときです。よく音を凝視めて適正な期待度を与えると、その音は気持ちよく空間を飛んでいきます。(金子浩)

第5回:難易度の高い箇所の練習の秘密

今回は難易度の高い箇所の練習法についてです。まず、基本的な事を説明します。空中に人差し指で円(楕円でもよい)や三角や四角を描いてみて下さい。繰り返し描いて、速度を遅くから速く変化させてみて下さい。三角や四角はゆっくり描くことは可能ですが、速くすると崩壊してしまいます。円は速くしても崩壊しません。楽器を弾くとき、指や腕の動きを円に近づけていきましょう。腕が移動するとき、出発はゆっくりで中間が速く到着はゆっくりしてみましょう。離す、移動、押さえるといったやり方で認識すると、三角を描くことになってしまいます。移動の速度も円(楕円)のような、蒸気機関車のピストンのような変化をするのが理想的です。押弦のときの筋肉の動きも円にするのが大切です。筋肉はオンとオフの電磁石ではありませんので、力が入っていくまでに時間がかかります。押弦圧のピークを撥弦ポイントと一致させることによって、左手と右手のタイミングが一致して音楽がスムーズになります。楽器を弾くときの腕や指の動きの本質を、できるだけ円(楕円)の動きに近づけてゆっくりと練習してみましょう。動きが円であれば速くしていってもうまくいくでしょう。(金子浩)