9月16日(火)にホワイトキャッスルW301にて、ヴァイオリニストであり、またカリフォルニア大学アーバイン校教授の木村まり先生を特別講師としてお迎えし、音楽・音響デザインコース大学院森研究室及び先端音楽表現研究所の特別講座「MUGIC®:音楽家と舞台芸術のための永続的なツールを目指して」を開催しました。
音楽性を深め、革新性よりも熟練を追求する目的で開発されたモーションセンサー「MUGIC®(Music/User Gesture Interface Control)」についてヴァイオリン演奏を交えて紹介していただきました。芸術の新たな可能性や、アートの境界を超えて拡がるユーザーの現状、そして本技術に至った経緯についても触れられました。弦楽器コースやJAMコースの学生も参加し、音楽的な視野を拡げる素晴らしい学びの機会となりました。
講師略歴
桐朋学園大学卒業、江藤俊哉氏に師事。1985年よりアメリカに留学、ボストン大学、ジュリアード音楽院で学ぶ。主にニューヨークを拠点として欧米で活動し、今までにパリのIRCAM、ハンガリーでの国際バルトーク祭、サンフランシスコでのOther Minds音楽祭、メキシコの国際セルバンティーノ音楽祭、国際現代音楽祭(ISCM)など、国際的に招待演奏。1994年のNY・デビューリサイタルは、NY タイムズ紙に「胴目すべきデビュー、時代の先端を弾くヴィルチュオーソ」と絶賛され大きな注目を集めた。 日本でも、岩城宏之氏指揮、アンサンブル金沢と共演、大野和士氏指揮、東京フィルとの共演でヒルボルクの協奏曲の日本初演、また井上道義氏指揮の東京交響楽団とジョン・アダムズのヴァイオリン協奏曲を日本初演。わが国で初めヴァイオリンの調弦を変えずにG線より1オクターブ下の音を弾く「サブハーモニクス」を披露、大きな話題をよび、作曲家の一柳慧氏より「大型ヴァイオリニストの誕生」と絶賛される。1995年には米国音響学会(ASA)にて招待発表、科学界でも大きな反響を呼ぶ。1996年に中島健臓音楽賞を受賞。2007年秋山和慶指揮、東京交響楽団とフランス人作曲家ジャン・クロード・リセ作曲のバイオリン協奏曲を自作のカデンツァも含め世界初演。作曲家としては、2010年度グッゲンハイム・フェロー、国際コンピューター音楽祭(ICMC)委嘱賞、その他ロックフェラー財団、NY州芸術評議会 (NYSCA) 、NY芸術協会(NYFA)などより受賞歴多数。カーネギー財団から「アメリカの誇る移民」として、オノ・ヨーコに続き2人目の日本人として表彰される。2020年、芸術表現に革命をもたらすウェラブル・モーションセンサーMUGIC®を開発、起業。MUGIC®は現在ハーバード、カリフォルニア大バークレー校、ベルリン芸術大、ジュリアード、ベニス・ビエンナーレといった一流機関で使用されている。2022年には革新性と起業家精神に対し米国下院から議会表彰状を授与。長年ジュリアードで教鞭をとりながら2017年よりカリフォルニア大学アーバイン校正教授に招聘。テクノロジー、作曲と演奏を通して音楽の限界を第一線で押し広げ続ける。2025年に米国電子音響音楽協会賞(SEAMUS生涯功績賞)を受賞。 |
洗足学園音楽大学では、先端テクノロジーを活用した音楽表現の研究を推進するため、2025年度に「先端音楽表現研究所」を設置しました。本研究所では、最前線で活躍するアーティストやエンジニア、研究者とともに、音楽とテクノロジーの未来を切り開く創造的な試みとその発展に取り組んでまいります。