学長・学部長挨拶

学長挨拶

洗足学園音楽大学 学長
前田 雄二郎
洗足学園音楽大学 学長
前田 雄二郎

洗足学園は、1923年11月に創立者の前田若尾先生が自宅2階を私塾として開放して始まりました。その年の9月に関東大震災が発生、被災した女学生が生きるための術を身に付けるために、若尾先生はまず第一歩を私塾として踏み出したのです。「理想高遠 実行卑近」の建学の精神の元、洗足学園音楽大学は激動する世界情勢の中でも斬新な発想で果敢に挑戦し、学生が自立できるための教育を行い、社会に奉仕・還元できる有為な人材の育成に努めてきました。

本学は2024年に100周年を迎え、この建学の精神と教育理念は時代が変わっても色褪せずに、依然として常に目指すべき道標となっていると感じます。グローバル化が進み世界がより近くなったからこそ、他国での諸問題は複雑に影響し日本の課題となり得ます。文明が発展することで様々な時代の多様な音楽に接する機会が増えますが、幅広い知識と新しい技術への対応に迫られます。社会情勢は日々目まぐるしく変わり絶対的な価値観は存在せず、私達は正解がわからない多くの問題に直面しています。これからも不安定で不透明な時代が続くでしょうが、創立者の建学の精神を忘れずに、理想は高遠に、実行は卑近に、私達は一歩ずつ前に進んで参ります。

洗足学園音楽大学では、皆さんがこれからの社会で生き抜くために必要な学びを実現出来る教育環境を整えています。自分の興味を最大限に引き出し自ら選択できるカリキュラム、様々な背景・素養をもった学友と切磋琢磨する学生生活、第一線で活躍する教員による実践的な指導、そして学んだことを表現・発揮できる数多くの舞台。是非失敗を恐れず、本学でたくさんの事に挑戦し多くの経験を積んでください。それには勇気をもってまず一歩踏み出すだけです。私達教職員は学生の皆様の成長を心より応援し、誠意をもってサポートします。

学部長挨拶

学部長
小嶋貴文
学部長
小嶋貴文

音楽を趣味、あるいは専門家をめざして続けている若者はたくさんいると思いますが、その出会いはどのようなものだったのでしょうか。子どもの頃からピアノのレッスンを受けていた、クラブ活動の吹奏楽で初めて楽器を手にした、あるいは、テレビから聴こえてきた音楽が心に響いて作曲に興味を持ったなど、様々なきっかけで音楽に出会い、音楽との付き合いが始まったのだと思います。
それでは、彼らが音楽を続けてきた原動力は何なのでしょう。私が真っ先に思いつくのは、音楽から与えられた感動の体験・記憶が大きな役割を担っているということです。その感動こそが、日々の練習の苦しみや、思うように表現できない苦しみを乗り越え、音楽を続けていく最も大きな支えになるのです。
そして、音楽を続ける中で、様々な種類の、様々な大きさの感動が蓄積され、いつしか自分が表現者として感動を他人に与えたいと思った者が、自分の将来を音楽に託す決意をするのだろうと思います。その決意は、ソリストとして舞台に立ちたい、オーケストラの団員として演奏したい、一流のアーティストになってツアーをしたい、音楽の先生になって子どもを教えたいなどの具体的な「夢」となって若者を駆り立てます。音楽大学での学びの4年間は、その若者たちの熱い思いが最も明確にそして具体的に溢れる時期と一致します。
「学生が渇望している知識、技術を教授し、それを自由に表現する機会を提供し、結果に対して的確なアドバイスを与え個々の学生の個性を損なうことなく伸ばすこと」、私は、これが音楽大学の大きな使命の一つと考えています。
そしてもう一つの使命は、音楽を学んでいく中で避けて通ることの出来ない他人との協働の精神を育むことです。演奏者同士で、演奏者と作曲者あるいは演奏者と聴衆との間で様々な協働が行われ音楽が創造されます。音楽を通して学ぶ協働の精神、そしてそれを支えるコミュニケーション能力の育成は、音楽そのものを教授することと同等に大切なことです。
「音楽で誰かを感動させること」は容易なことではありません。表現者として、教養、感性を高めることは言うまでもなく、たゆまぬ修練と聴衆の前での多くの演奏(発表)経験、そして何よりも「表現したい、伝えたい」という意思を強くもつことが、聴衆の心を動かす大きなエネルギーになります。学生一人ひとりが、本学での学びを通じて、それぞれの夢を叶える音楽力、人間力を身につけてくれることを願っています。