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天津ジュリアード音楽院 ジョウ シャンユウ教授、小山昭雄教授によるマスタークラス

2025.10.02

10月1日(水)に、天津ジュリアード音楽院 ジョウ シャンユウ教授によるクラリネットのマスタークラスと、小山昭雄教授によるファゴットと室内楽のマスタークラスを開催しました。マスタークラスを受講した学生は、世界で活躍されている先生から表現力向上に向けた丁寧なご指導をいただき、多くのヒントを得ることができました。

 

管楽器コースオーボエの佐藤 亮一先生から、小山昭雄教授のマスタークラスについてコメントをいただきました。

レッスンではその作品の調性によるキャラクターの違いについて、たとえば教会でよく使われている調性や、どういう作品でその調性が使われているかなど、例を出しながら具体的に説明されていた。
また、まず学生たちに息をしっかり使うこと、しっかりと自分の持っている良い響きを出すこと、それによって細かく音程を合わせようとしなくても自然と響きが合ってくるという事を説明され、実際にみるみる響きが豊かになり、響きあうようになっていった。
また音符の処理や奏法についても、息の使い方を身体の動きや言葉で表し、速度と圧力の変化、舌の使い方とそれによるレガートの奏法やアーティキュレーションの変化などを具体的にとてもわかりやすくご指導いただいた。音程のインターバルにより表現されている意味、安心感や満足、喜び、悲しみなどを具体的に示して頂き、作品の解釈や表現する際にどのように楽譜を読んでいけば作曲家の意図が見えてくるのか、学生たちがこれから新しい作品に取り組んでいく際に役立つ考えを示していただいた。
演奏する際に必要な息の吸い方、それによりお互いにしっかりと同時に始められること、また発音の際のどのような音、響きで初めていくのか、その為の様々な舌の使い方、音をしっかりと区切る際の舌はどう使うのかなど、具体的な口の中の動きも説明していただいた。
小山先生の温かいご指導により、学生たちの目がより輝き、響き、音色、表現もどんどん豊かになっていくのが感じられた素晴らしいマスタークラスとなった。

 

ジョウ シャンユウ教授プロフィール

西安(中国)出身のジョウ シャンユウ(学士号2009年、修士号2011年 クラリネット専攻)は、10歳の時に西安音楽学院で王宇(Yu Wang)と鄭池(Zheng Chi)に師事しクラリネットを学び始めた。2002年にTOYAMAアジア若手アーティストコンクールで第1位を獲得した後、ジョウはジュリアード音楽院でチャールズ・ナイディッチ(Charles Neidich)に師事し、学士号と修士号を取得。また、インターロッケン・アーツ・アカデミーの卒業生。

ジョウは2011年から2015年まで上海交響楽団の副首席クラリネット奏者を務め、アジアおよびヨーロッパでのツアーにも参加。さらに、2016年にはニュージーランド交響楽団のゲスト客演副首席クラリネット奏者を務め、2016年から2017年のシーズンには貴陽交響楽団でE♭クラリネットを担当。

ジョウは上海音楽学院附属中学校の客員講師を務め、マンハッタン音楽院やインターロッケン・アーツ・アカデミーでもマスタークラスを行っています。現在、ジョウはニューヨーク市立大学大学院センターで博士号取得を目指して研究を続け、天津ジュリアード音学院教授。

 

小山昭雄教授プロフィール

ダルムシュタット州立歌劇場管弦楽団、シュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団、シュトゥットガルト室内管弦楽団で首席ファゴット奏者を歴任した。1990年からは、小澤征爾氏の下サイトウ・キネン・オーケストラの首席ファゴット奏者として活躍。ソリスト、室内楽奏者として、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、バンベルク交響楽団、バイエルン国立歌劇場管弦楽団、ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団などとともに世界各地で演奏。1979 年アンコーナ国際音楽コンクール(イタリア)、1981 年プラハの春国際音楽コンクールで入賞。

元ドイツ トロッシンゲン国立音楽大学最高位教授、現在天津ジュリアード音学院教授。

 

洗足学園音楽大学管楽器コースでは、国内外で活躍されている演奏家による実技レッスンによる基礎力と演奏技術の習得を目指しています。また、洗足ならではの多彩な合奏授業に参加し演奏経験を積み重ねています。さらに、今回のようなマスタークラスの講師として世界で活躍されている演奏家の方々を講師としてお招きし、学生が表現力をより一層磨いていくための教育体制を構築しています。